みなさんは寝ても疲れがとれなかったり、なにかもやもやするなどの症状はありませんか?
もしかしたら、感情労働が原因かもしれません。
「感情労働」と言う言葉を知っていますか?
今の仕事は、「決められた感情」で人に接することを求められる仕事ですか?
サービス業などで働いている人は、どんなお客さんにも常に笑顔に対応することが求められます。
教師や保育士も同じで、一人の人間ではなく、常に「先生」として適切な態度で子どもたちに接することが求められる仕事です。
看護師や介護施設で働く人も患者さんや利用者に感情を使って安心を与える仕事です。
このように、人を相手にする仕事につく人の多くが、決められた感情を求められて規範的な感情を商品価値として提供する仕事を「感情労働」といいます。
肉体労働は昔からよく知られる言葉ですが、「感情労働」は近年注目されてきた新しい概念です。
では、どのような人が感情労働に陥ってしまうのか?
・仕事に熱心なあまり、燃えつきてしまう人も
感情労働は、とてもストレスフルな仕事です。
不快なこと、失礼なことを言われたら、つい嫌な気持ちが顔に出てしまうのが人情ですが、感情労働においては、個人的な感情を仕事に反映させないように、セーブすることが求められます。
そのため、感情労働につく人は精神的に消耗しやすいのです。
特に、使命感がとても強く、ひたむきな気持ちで仕事をしている人ほど、突然ポキッと心が折れてしまうような虚無感に襲われることがあります。
これを「バーンアウト」(燃えつき症候群)と言います。
バーンアウトに陥ると、突然仕事にやりがいを見いだせなくなり、人が変わったように冷淡な対応をするようになったりします。
いつも決められた感情で仕事をしなければと頑張りすぎて、情緒が消耗してしまった結果です。
・感情労働者のバーンアウトを防ぐには?
とはいえ、感情労働は、やりがいのある仕事です。洗練された笑顔は人を幸せな気持ちにさせますし、真摯な対応は受け手を安心させ、生きる力を与えることができます。
そんな仕事にやりがいを持つ人のなかには、仕事と個人を分けて考えることができず、仕事にのめり込んでいく人が少なくありません。
当面はやりがいと使命感で高揚し、仕事に邁進できても、休みなくその状態を続けると、心のエネルギーが失われ、燃えつきてしまい、その結果、出勤することもできなくなり、好きな仕事をあきらめてしまう人もいます。
そのため、感情労働につく人は仕事にかける思いと同じくらい、仕事に打ち込む時間や気持ちの込め方に制限をかけることも意識し、オンとオフのメリハリをつける必要があるのです。
仕事中は気持ちを込めて対応しても、仕事が終わったら意識を切り替えて、自分の時間を守ること。「あのことはまた明日、仕事中に考えればいい」というように、ある程度割り切って考えることが必要になることもあります。
・「仕事の私」のイメージは私の全部ではない
また、仕事では「清楚なお姉さん」「白衣の天使」「みんなのお母さん」といった理想的なつきまとっていても、そのイメージが必ずしも「自分自身」であるわけではありませんし、いろいろな側面を持っているのが人間です。
期待される職業上のイメージと自分自身を一体化させねばならないと頑張ってしまう人ほど、職業上に合わない自分自身の「負の側面」が許せなくなってしまうものです。
すると、「私は○○のプロだから!」という思い込みが自分を縛り、追いつめてしまいます。
感情労働を選ぶ人の多くは、人間が好きで、感情が豊かな人だと思います。
それだけに、いつも笑顔で懸命に人に尽くしてしまい、知らず知らずのうちに疲れを溜めてしまうのでしょう。
仕事は長く続けていくことに意味があります。
せっかく選んだ適職をバーンアウトで失わないように、また労働の価値である感情を守るためにも、仕事とプライベートとの時間的な切り分けをし、「プロはこうあらねばならない」という職業上のペルソナにこだわりすぎないことも必要なテクニックになってきます。
感情労働にやりがいを覚えている人ほど、このことを意識していく必要があるのだと思います。