言葉というのは、人が生きる中で必要不可欠なものですよね?
人を説得するには「論理」、「感情」、「人間性」の3つの要素が必要です。
人をどのようにすれば説得できるかというのは、古代からの大きなテーマで、そんな「弁論術」を体系化して、後世に大きな影響を与えたのが、アリストテレスという人です。
アリストテレスは、人を説得するには次の3つの要素が必要だと説きました。
① ロゴス(論理):人を説得するには論理的でなければならない。
② パトス(感情):人を説得するには感情に訴えなければならない。
③ エトス(人間性):人を説得するには信頼される人間性をもたなければならない。
アリストテレスは説得をするには、この三原則が必要だと言いています。
これらのことから、どのようにして「言葉」で相手を誘導することができるのでしょうか?
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
「返報性の法則」を応用したのが、この「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」と呼ばれるものです。
例えば、友人から「50万円貸してくれないか?」と頼まれたらとします。
大抵の人は、なかなかポンと出せる金額ではなく、あなたはやんわり断りました。
でも
「やっぱり無理か・・・わかった、じゃあ、せめて2万円だけでもいいから貸してくれないか?」と、再び頼まれたとしたらどうでしょう?
この場合、多くの人は2万円を貸すことに、しぶしぶでもOKしてしまうものです。
初めから、「2万円を貸して」と言われたら断っていたかもしれませんが、最初に50万円を断っているだけに相手に対して負い目がでてきてしまい、返報性の法則によって2度目の頼みを断りにくくなってしまいます。
フット・イン・ザ・ドア・テクニック
「一貫性の法則」を応用したのが、この「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれるものです。
先ほどの「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とは逆に、最初に小さい要求をしてYESを引きだし、2度めに本命の大きな要求をするというもの。
多くの人は、一度相手の要求をOKしているので、次に断ったら一貫性が崩れてしまうと考えるのです。
最初の要求が気軽に応じることができる軽微なものであることがポイントで、次の要求を飛躍させすぎないのがコツです。
「100円貸して」の次に「5万円貸して」と言われても、簡単に応じる人は滅多にいないということです。
アンチ・クライマックス法
いわゆる「前フリ」という前置きの話を先に入れてから、本題に入っていく説得話法を心理学では「クライマックス法」と呼びます。
ただ、これは相手があなたに対して関心を抱いていて、話をしっかり聞くというスタンスの場合のみ有効です。
この話法の弱点は、前段階で話している相手が聞き飽きてしまうリスクがあり、本題に入る前に関心が離れてしまいがちに・・・
そこで、相手がこちらの話にあまり関心を示していないような場合では、「アンチ・クライマックス法」使ったほうが有効的です。
これは、話の冒頭でいきなり核心の部分を伝える話法です。
対話式説得法
これは、質問を繰り返して都合のいいほうに誘導する方法で、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスは、対話による独特の説得テクニックを使い、相手を論破していました。
この「対話式説得法」による質問は、自分の都合のいいほうに答えを誘導できるように設定するのが特徴です。
対話式説得法をわかりやすく説明すると、ショップの店員が使うセールスのテクニックを例にとります。
ジャケットを手にしている客に、こう声をかけます。みなさんも想像してみてください!
店員:「今日は、ジャケットをお探しですか?」
客:「うん、まあね(手に取っているので認めざるを得ない)」
店員:「そのネイビーは新色なんですよ。黒もあるのですが、お客様はどちらがお好みですか?」
客:「う~ん。黒よりネイビーかな」
店員:「そうですね。今はネイビーのほうが人気なんですよ。どうぞ試着してみてください」
客:(袖を通す)
店員:「よくお似合いですね、こちらは定番モデルで、同じラインでリーズナブルな新作もあるのですが、そちらのほうがよろしいですか?」
客:「そうだね、安いほうがいいかな」(新作にも袖を通す)
店員:「やはりこちらのほうがお得ですからね。ところで、今キャンペーン中で現金払いの方には特典があるんですよ。それともカード払いになさいますか?」
客:「・・・いや、今回はカードにするよ」
この店員のセールストークが巧みなのは、「黒かネイビーか?」「定番か新作か?」「現金払いかカード払いか?」という二者択一の質問を繰り返していることです。
客からすれば、「買うか買わないか」という最大のポイントが抜け落ちて、いつの間にか買う前提で進んでしまっている点に注目してください。
相手がこちらの思惑通りに回答せざるを得ないような質問を繰り返すことにより、自分の望む方向に相手を徐々に誘導していくのです。
続いてはこちら⇒「人間関係を変えるメカニズム4選(心理術)」